宿泊特化(主体)型ホテル
昨今、ホテル市場は、外資6星クラスに代表されるプレミアクラスと、宿泊特化(主体)型ホテルに二分される時代となっている。
また、ホテルポジションをカテゴリー別に分ける手法は様々だが、「価格負担可能カテゴリー」が真性カテゴリーであり、『ものからことへ』、という考え方でみてもあてはまる。
利用者は、利用目的別の予算額を明確に意識、イメージ作戦に簡単にのらない。
従って、利用者が、利用目的別に同一グループで評価する場合、ハレの利用は別として、提供価格による評価が主となる。
これが、特徴に乏しい『総合都市型ホテル』の宿泊部門の競争力が落ちている理由のひとつ。
宿泊特化型ホテルを提示価格で分類すると、バジェットクラス、中間クラス、プレミアクラスとなる。
新しさと提供価格により、総合都市型ホテルが担っていた宿泊部門を、宿泊特化型ホテルのうち、プレミアクラス、中間クラスが、その需要を肩代わりする様になってきた。
中間・プレミアクラスでは、宿泊特化型といえども、テナント、運営委託、直営、と運営形態は異なるが、きちんとしたレストランで対応しているホテルもあり、これも、朝食を大事にする顧客層を取り込む一要因となっている。
宿泊特化型ホテルは、単純な施設構成であり、インテリアデザインおよび備品類で多少の違いは出るが、他の同タイプホテルとの本質的な差別化にはつながらない。
このため、客室タイプ、提供料金、客室面積、開業時期、立地場所(利便性・視認性)、利用メリット、といった分かり易い基準での評価となり、ネット上でもその様な評価ポイントが用いられている。
特に、業務出張客が主たる客層であるシングルルームにこの傾向が顕著に出る。
主たる営業内容が宿泊のみということは、それが崩れたら事業は成立しなくなる。
一般的な同タイプホテルで、事業費が土地代抜きで20億円程度ということは、少しでも可能性がある土地があれば、簡単に新規参入可能ということであり、幾多の新規参入者による供給増があると、事業企画時に想定した需給関係は簡単に崩れてしまう。
変動要素が少ない分、感度分析も作成し易いが、感度分析が役に立たないことも多々ある。
プレミアクラスは別の考え方があるが、中間・バジェットクラスの事業企画は、総投資(除く土地代)回収は10年以内、ということがひとつの目安。
基本機能は適切に、一部に夢を持つことは良しとするも、不要な装飾は排除、性能設計に徹することが肝要。
事業性が所定のレベル以下になった場合、取り壊し、他の事業企画へと変更可能にしておくことが必要。
つまり、農耕民族の発想ではなく、獲物が無くなれば次の猟場へ移動する狩猟民族の知恵を取り入れる事業だと考える。